2013年6月30日日曜日

ソーシャルネットワークとは一体何だったのか


2010年に公開され、第83回アカデミー賞でも多数の部門賞にノミネートされ、評論家からの評価も高いソーシャルネットワーク

 この映画は、日本人にとってアメリカの学生生活の一端を観れる機会であり、ハーバードの学生でも、起業のモチベーションってオンナなのかって思った方もいると思います。

 世界最大のSNSであるFacebookの創設者であるマーク・ザッカ―バーグの学生時代に焦点を当て、なぜFacebookが作られたのか、当時の関係者における人間関係、誰のアイディアがFacebookの元になったかを争うといったドタバタストーリ-でした。

 この映画は、シェークスピア劇が根底にあり、お金や会社といったモノを手に入れたオトコが、他人に対する配慮が苦手で四方八方に敵を作ってしまい、自分の好きなオンナを手に入れる事が出来なかったという物語なのですが、こういう映画は沢山作られているそうですね。詳しくは町山さんの映画特電をご参照ください。
 
ソーシャルネットワークの最大の問題点は、Facebookの開発に関わった人たちに対する皮肉・風刺的(?)人間ドラマに焦点が当てられすぎており、一体Facebookとは何なのか、映画の中で語られていないことです。

 監督のデービッド・フィンチャーや脚本のアーロン・ソーキン自体がFacebookを使っても全く理解出来なかったそうで・・・。実際に使っても分からないなら、Facebookをシェークスピア劇として描くのも仕方ないことかもしれません。

 一体ソーシャルネットワークとは何だろうか。インターネット上で、人と人を繋ぐ媒体としてのソーシャルネットワーク、映画が作られて約3年経った今こそ、ある程度ソーシャルネットワークの概念が形成されつつあると感じます。

 ソーシャルネットワークは、ミスコンテスト的な個人のプライベートを他人にアピールする手段として、日本では成り立ちつつありますね。筆者のアカウントを見ると、ニュースフィードに載っている内容は以下の要素に分類できます。

 ①パーティーやイベント等の写真を共有し、男女がカメラに向かって上目目線でピースサイン

 ②有名人等の講演会や、主催イベント開催の告知

 ③友人が取った写真の共有(旅行やプライベートで訪問した場所についての写真など)

 ④友達とは全く関係ない企業広告(勝手に表示されるようになりましたね、最近)


 ざっと挙げれば、上記のようになるでしょう。あとは、それぞれアップした内容に対してコメントしたり、「いいね」ボタンを押したりして、自分の感想等を相手に伝えるといったところでしょうか。

 デビッド・フィンチャーやアーロン・ソーキンが、Facebookを理解出来ないのも無理はありませんね。Facebookで、自分の主催イベントを広告して、人を呼び集め、派手で豪華なパーティー内容を共有し、自分がどれだけ活動的で社交的かをアピールする手段になりつつある。

 ミスコンテストですよね、こういうのは。外面を衣装や化粧で取り繕って、パーティーやイベントに参加して、いかに自分の生活が充実しているかをアピールする。そして、友人を増やし人脈を広げていくのである。目的は、金儲け、婚活、暇つぶし等、様々であると思う。

 それが良いことか悪いことかは判断しかねるが、自分にとって得な事を発信し、周りからの共感や支持を得たいという認知欲求の象徴なのではないか。自分というモノを商品化して宣伝するなら、商業主義的な広告ビジネスと変わらなくなる。

 Facebookはユーザーを不幸せにするという研究結果もあるようで・・・。やはり、自分より充実した生活を送る他人に対して、羨望や嫉妬等の感情が生まれるのも避けられない事。

 ソーシャルネットワークという映画は、市民ケーンが元になっていると言われる。市民ケーンとは、実在した新聞王ランドルフ・ハーストをモチーフに、金や名声、権力を手に知れた男に対する風刺映画であり、何もかも手に入れた男も、愛する女や母親の愛情だけは手に入れる事が出来なかったと脚色することで、成功者をバカにしたいという嫉妬心が根底にあるのでしょう。

 誰もが自分より成功している人間に対して嫉妬心を持つとしたら、Facebookでパーティー写真を見ると、自分も負けられないと思い発奮したり、こういうノリに付いていけないと思い全くFacebookを見なくなる人もいるでしょう。もしくは、現実の人間関係に疲れ果て、仮想社会における空虚な人間関係に精を出す人もいる。

 結局、どんな新しいアイディアやツールが生まれても、本質的なモノは昔から変わらない。自分より上手く行っている人間に対して、どうしても冷やかしたくなる人が存在するのです。

 ネットという技術が新しいモノだから、人が他人に嫉妬する形が変わってきただけかもしれない。結局、お金いっぱい稼いだみたいだけど、だから何なのさ?っていう不毛なやり取りが繰り返されるのか。



 

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