2013年4月15日月曜日

ユニクロブラック論とウォルマート



 「甘やかして、世界で勝てるのか」、ファストリテイリングの柳井正会長が語ったお言葉。

 別に労働者は世界で勝つために、ユニクロで働いているわけじゃないよ、という突っ込みは抜きで、ユニクロブラック論を考える為に、「ウォルマート~世界最大のスーパー、その闇~」を紹介します。

 2005年に製作されたウォルマートを告発するドキュメントで、このドキュメント映画を見れば、ユニクロブラック論より深く理解出来ると思います。


本作で指摘されたウォルマートの労働環境に対する問題点は以下の通り。(筆者の解釈。)


①価格破壊によって、地元の個人商店が淘汰される。メイドインチャイナで、大半の製品が安すぎるので、他の競争相手が対抗できない。(アメリカにおける日用品価格を押し下げた)。ウォルマートの激安戦略によって、生き残った競合相手も低価格戦略を強いられる。

②正社員の平均年収が200万円以下で、相当な低賃金(4人家族では貧困家庭)。他の競合相手が既にウォルマートに潰されているので、低賃金労働者は他に働く場所がないので、そのまま搾取構造が生まれてしまう。

③従業員の大半は正社員であるが、アメリカは国民皆保険が存在せず、民間の保険に加入しなければならない。しかし、低賃金労働者には民間の保険に加入できず、州政府等が税金でウォルマートの従業員を補助しなければならない。ウォルマートが従業員に払うべき給料や法定福利を、州政府の税金で払っているようなもの。

④販売している大半の製品は、中国やインドなので、ウォルマートは儲かっても、アメリカ人に還元されない。還元されるのは経営陣や株主のみ。

 
 上記問題点はアメリカで起きている問題であるが、そのまま一部ユニクロブラック論に当てはまる。現場の労働者は、低賃金で働かされ、社会保障から疎外される可能性である。激務の割に低賃金では、従業員の健康状態が脅かされる。将来的に政府の社会保障として負の遺産になる可能性は否定できない。企業が労働者をコキ使い、使えなくなったら政府が税金で保護するという最悪の状況・・・。他にも労働環境についての描写は、ユニクロブラック論を理解する上で大いに参考になります。

 またユニクロブラック論について、本当の問題は採用の失敗であるとの主張もあります。採用問題の失敗として語る事自体は間違ってないが、日本全体で考えれば、もっと深刻な問題が潜んでいる。またグローバル化によって発展途上国の経済が発展するように見えて、実際は巨大資本によって発展途上国の労働者が搾取されている実態も告発されています。

 映画評論家の町山智浩氏が、本作について解説した動画があるので、ご参照ください。もしかしたらYouTubeで検索すれば、このドキュメント映画自体見れるかもしれませんので、探してみるといいと思います。

 今回の記事はウォルマートやファストリテイリングを批判するものではありません。小売業は競争の激しい業界であり、本作が現状がどれほど深刻かを理解するのに役立つと思います。

国際競争に勝ち残る事と、労働者の待遇を守る事は両立しないという事を痛感させられるドキュメント。


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