2013年4月23日火曜日

ハイスクール白書 エリート養成所に気をつけろ

ハイスクール白書、優等生ギャルに気をつけろ」という映画をご存知でしょうか?。写真に写ってるのは、リース・ウェザースプーンです。この写真だけだと、まるで怪物みたいですよね・・・。

 マシュー・ブロデリックが高校の先生役をやっていて、先生女子生徒に喰われてるじゃないですかwww。怯え3割、7割警戒や不信といった表情なのが印象的。

 原題はElectionで選挙ですね。別にヒラリー・クリントンみたいな女性政治家が、大統領選挙で勝利を目指すといった映画ではありません。もっと小さい世界で、私達にも身近な出来事です。

 テーマは、高校の生徒会長選挙です。リース・ウェザースプーン扮する野望のために萌えている女子高生が、将来の大学進学を見据えて、キャリア作りの為に生徒会長になろうとするドタバタを描いたブラック・コメディ。

 米タイム誌が選ぶ政治映画で、1位の大統領の陰謀に継ぐ、なんと2位に輝いている名作映画なのです。

 高校の生徒会長なのに何故ここまで評価されているのか。それはアメリカのエリート養成プロセスに対する風刺が沢山込められているからですね。

 監督はアレキサンダー・ペイン。一貫してアメリカ社会に対する皮肉ったコメディ映画を作る監督ですね。アメリカ社会の裏側を勉強するなら、彼の映画を観るといいと思います。爆笑するというより、冷笑したりヒヤヒヤしながら見る事になるかもしれません。

 女子高生の主人公は、自分のキャリアの為になら手段を選びません。基本リア充(?)で、なんでも持っているんですね、先生との性的関係も・・・。ということで、いろいろ危機感を持ったマシュー・ブロデリックは、彼女を生徒会長にさせないために痛い人になっていきます。

 アメリカの有名大学は、SATといった筆記試験で高得点を取る事は当たり前で、学業以外の実績が必要になってきます。詳しくは田村耕太郎さんのコラムを。

 無垢な純粋な学生なんて、アメリカの競争社会では生き残れません。実はオトナより腹黒くて、頭良くて、でも精神的に何かバランスを欠いたエリートが生産されていきます。子供の頃から、ミスコン的競争や、学業における競争環境に晒されているアメリカ社会に対しての風刺でもありながら、警鐘を鳴らすといった意味で、深い深いコメディ映画です。

 誰が子供を競争社会に追い詰めるのか。それは両親以外ありえません。本作でも、主人公より強欲なのは母親なのです。実際、主人公が泣き崩れて辛い思いをしている時に、精神安定剤を飲ませて、あとで反省会をやりましょうねと言って、優しそうだけど鋼鉄のボディーブローを主人公に喰らわせるのです。

 このシーン見た人は、多分引いたと思います。母親気持ち悪いし、最悪の親だと感じるでしょう。しかし、日本でもお受験といった、幼少時から苛烈な競争社会に自分の子供を向かわせていますね。韓国も、中国も、インドも同じような現象が起きつつあります。

 子供の世界における競争社会が過熱して、最終的に行きつく先は、この映画だと思えばいいと思います。個人的には、ヒラリー・クリントンって、こういう競争社会に身を置いて勝ち残ってきたエリートなのかなと思いました。クリントン家って上流階級ですからね。アメリカの大統領は、下手したらブッシュ家とクリントン家の子息が交互にやるって可能性もありえましたからね。

 周りに行動力があって立派な事をやっている友人や、リアル充実してる人に対して、不信感をもっている方は、見ていてスカッとする映画だと思います。特に最後のマシュー先生怒りのパイ投げは、凄い共感できると思いますよ。

 アメリカ留学を考えている学生や、お受験をさせようか迷っている父母の方等、娯楽としてご覧ください。クレヨンしんちゃんのようなバカバカしくて、でもヒヤッとさせられる名作です。

 個人的には、マシューが演じた先生って、監督自身を投影してるんじゃないかと思いましたw。優等生ギャルのバカ野郎って事でマシュー先生の復讐、アレクサンダー・ペイン監督の呪いは、今更になって報われました。アカデミー賞女優のリース・ウェザースプーン、遂に本性を表しましたね。

 外面をいくら取り繕っても、中身が伴わない人は、やっぱりイタイのです・・・。映画の登場人物とは関係ないですが。

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