2013年4月27日土曜日

最近のバラエティー番組って「ポムワンダフル提供:金で魂を売った最も偉大な映画」だよね

最近のバラエティー番組って、1時間番組が減って、19時から21時までの2時間番組が増えましたね。しかも、フランチャイズレストランの人気メニュートップテンを当てる、AKB総選挙を真似たような人気商品ランキング総選挙、会社の工場に潜入して人気商品の製造工程を見せる等、露骨な広告臭が強い番組が増えてきました。

 番組自体は、お笑い芸人を出演させて、あえて厳しい状況に追い込ませて笑いを取ろうとするなど、エンターテイメントも忘れずに、広告・低予算・長尺といった形で製作していますね。

 そういうバラエティ番組を見ている人に、見て欲しいドキュメント映画が「ポムワンダフル:金で売った偉大な映画」です。

 この映画は、スーパーサイズミーで有名になったモーガン・スパーロックが作っています。スパーロックが作ったドキュメントは、基本風刺ドキュメントになりますが、今回は広告が標的。

 まあ基本、広告臭が露骨なコンテンツは絶対面白くないよっていうのが結論なんですが・・・。

 モーガン・スパーロック監督最新作、「映画の内容はどうでもいいから、映画の中に出てくる商品を目に焼き付けて、良いイメージをってください。広告はあなたを幸せな気分にします。」という感じですね。

 そんなのありえないと思うのが普通の人の感覚だと思いますが、製作側は徹底的に宣伝したい商品を、不自然さを排除しつつ、いかに視聴者に見せるかが腕の見せ所。そういう製作者側の思惑を引き出そうとするモーガン・スパーロックが映画監督をやるわけですから、広告を最優先に考える製作者側と噛み合う訳がありません。

 というより、モーガン・スパーロックの製作者側に提案するアイディアが、広告として最も目立つ事しか考えないので、不自然さを配慮しつつ広告を埋め込みたい製作者側は、どうして私たちの思惑を理解しようとしないの?みたいな雰囲気なんですがね・・・w。

 広告についての風刺ドキュメントなのに、これは男女がなぜ分かり合えないかを、まざまざと見せられているようでした。モーガン・スパーロックは、男性脳で商品を目立たせる事しか考えておらず、製作者側は、商品を目立たせる事・不自然さを排除すること、視聴者に良いイメージを持ってもらう事等、配慮が出来過ぎる女性みたいでしたね。

 男性が論理的に主張することしかできず、女性は論理だけじゃなく、共感や思いやりを求めて噛み合わない恋人同士なんだよと遠回しに伝えたいドキュメント映画なんだと実感。

 ここまで広告が映画製作に浸透してきた理由は、出来るだけ安い予算で映画を作りたいからですね。それ以外の思惑なんてありません。広告によって、安い予算で製作でき、映画の中に商品を、これでもかって程視聴者に見せて、良いイメージを持ってもらえれば万事OK。

 映画の完成度なんてどうでもいいよって事なんて言っても、ちゃんとした映画を作りたい監督の一人であるタランティーノがスパーロックとのインタビューを受けるのですが、「露骨に商品広告をやると、映画のリアリティが壊れちゃうよ・・・」と言ってました。またJJ・エイブラムスは「ストーリーテリングは、ストーリーセリングなんかじゃないぜよ・・・」とも。

 個人的に最も印象的だったのは、映画広告のトレイラ―製作の現場ですね。トレイラ―製作の現場では、ニューロマーケティングという理論が実践されているようで、スパーロックにニューロマーケティングの簡易検査をMRIで調べるのですが、これがもう衝撃的で・・・。

 広告を、人間の脳に反応させるように作るというのは、二つの効果があります。一つは恐怖を呼び起こす事と、ある商品が広告で映った時、ドーパミン放出を促すことで、その商品を欲しくなる中毒的症状が起こるのです。

 さすがにスパーロックも驚愕。これって視聴者の脳をコントロールすることじゃないの?って、聞いてみると、「いや広告は、MANIPULATION(操作)だよ」と・・・。

 広告というビジネスは、視聴者が知らないところで物凄く進化してるんですね(棒)。ということで、日本のバラエティ番組に違和感を持たれたら、オススメできるドキュメントです。

 個人的には、面白がる風刺映画というよりは、人類に対する警告映画なんじゃないのと思いましたけどね。ニューロマーケティングについて興味があればどうぞ。

 ちなみに、このドキュメントを見ると、映画予告トレーラーが全く信じられなくなります。これは、人間の脳にドーパミンを放出させて、ノータリンジャンキーなっちまいな+IMAXで見に来いよ戦略と、頭の中でインセプションされます。

 アイアンマン2についても、シーンに広告沢山入れてる事を指摘しているのですが、アイアンマン3は一体どうなるのでしょうか。個人的には早くアイアンマン3版「正直なトレーラー」が出てくる事を期待しております。

 ロマンぶち壊しCinema Sins→https://www.youtube.com/user/CinemaSins?feature=
 脳神経映画中毒破壊→https://www.youtube.com/user/screenjunkies?feature= 


※この映画の中で、ポール・トーマス・アンダーソン監督は、映画製作における広告に全く興味ないと言ってます(本人のインタビューではないですが・・・)。広告臭が嫌いな方はどうぞ。

 あと、ソフトバンクのCMで使われてるBGMが沢山使われてます。特に、スパーロックが映画製作の広告について会議している途中とかですね。きっとスパーロックが、ソフトバンクのCMを見てパロディーとしてオマージュを捧げているんですね、わかります。

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