2013年4月23日火曜日

軍産複合体としての「アイアンマン」

 もうすぐアイアンマン3が公開されますね。シリーズ最終作なので世界中で盛り上がっているようで、我らがアイアンヘッド、世界のヨシマヤと主演のロバート・ダウニーjrのツーショットが、日本でも話題になりましたね。

 ハリウッドスターと日本代表希望の星のツーショットなんですから、そりゃ日本人はしゃぎますよね。僕は、ヨシマヤの華麗なクリアと巧みなフィードの方がハシャギマスガ。

 写真は、あえてペプシマンポーズのアイアンマンを持ってきました。コスチュームと、ロバート・ダウニーjrの顔に若干のミスマッチ感を感じてしまいます・・・。

 アイアンマン自体、非常に深いテーマが含まれている映画なので、単なるスーパーヒーローが世界を救うみたいな勧善懲悪的ストーリーからは一線を画しています。アイアンマンとは、アメリカにおける軍産複合体の象徴なのですから。

 軍産複合体とは、軍需産業を中心とした私企業と軍隊、政治機関が形成する連合体です。軍産複合体は、基本戦争が起きると儲かります。戦争が無ければ、その逆です。だから、政府に戦争を起こさせて、沢山武器を作って売りたいという欲求が働くことがあります。本来は、政府がコントロールしなければならないのですが、政府閣僚に軍産複合体の利害関係者がいれば、国益無視で他国に侵略戦争を仕掛けるという歴史が繰り返されてきました。

 原作コミックのアイアンマンはベトナム戦争が舞台で、映画一作目は2008年公開で明らかにイラク戦争やアフガン戦争を意識しており、主人公はアフガンでゲリラ組織に捕まってしまい、死の商人から正義のヒーロー(?)に生まれ変わるというシナリオです。

 映画版一作目は、凄い評価が高く、既にネタバレ等の解説は既にアップされているので、それらとは違う視点で分析します。

 この映画の問題点は、主人公ですね。天才科学者で大企業社長の主人公が、いい人なんですね。実際の軍産複合体の社長が、いくらなんでも簡単に正義の人として生まれ変われるのかと疑問を持たれる方もいるでしょう。公開当時イメージするのは、ディック・チェイニー副大統領とかですが、チェイニーってブッシュ政権におけるダースシディアスみたいな人で、Wをダークサイドから操った黒幕とすら言われる人ですからね。

 アイゼンハワー大統領が退任演説の時に警告した軍産複合体の台頭。結局誰も防げなかったのですが、その罪を償うためのアイアンマン。2008年公開なら、もう少し主人公はディック・チェイニーをモチーフにした方がいいと思いましたけどね。
 
 アフガンで拉致された主人公、なんとか脱出してアメリカに戻り、主人公が経営する大企業の武器製造を止めると宣言するんですが、こんなことはありえないので、アメリカ人の平和への祈りとしてのマクガフィンでしょう。

 そのあとは、会社の経営権を巡って、武器を作り続けたい人たちとの仁義なき戦いになっていくのですが、こういうパターンだと主人公最後に殺されるのが定番。もちろんそうなりません。アイアンマンはスーパーヒーローですから。

 今まで自分がやってきた事が間違っていたという事に突然気づいて改心しようとすると、必ず過去の自分が犯してきた罪に対する葛藤や苦しみといった人間描写があるはずですが、映画版アイアンマンは少し弱いかなと。

 こういう死の商人的映画を観るなら、アンドリュー・ニコル監督の「ロード・オブ・ウォー」の方が、映画として非常にシリアスで、尚且つニコラス刑事のオスカー俳優しての演技を堪能できます。アイアンマン3を見に行く前に下準備として見るべき映画としてお勧めです。こちらは、死の商人としての生き方から、悲劇までシナリオがアイアンマンより、しっかり描かれています。

 主人公が、今までの過去から決別して、自分が正しいと思った事をやり遂げようとする映画は、弁護士映画やギャング映画に多いので、そのような類の映画を意識してアイアンマン3を見ると、感情移入出来ると思います。

 ただ、主人公の恋人(?)のペパー・ポッツはどうなるのでしょう。グウィネス・パルトロウは、デヴィッド・フィンチャーのセブンで、サイコのケビン・スペイシーに首チョンパ。コンテイジョンでは、香港でウィルスに掛かって序盤で死亡し、解剖作業で脳を解体されていましたからね。

 アイアンマンにも、今までやってきた罪を償う必要があります。それは自発的に償える罪もあれば、強制的に神様が罰を与える罪もあるでしょう。今までのグウィネス・パルトロウの出演作から見て、ペパー・ポッツは死ぬんじゃないかなと思います。

 いや個人的に、そういうシナリオを期待しているだけです。グウィネスは、シェークスピアを惑わせた罪深い人ですからね。フィンチャーの執念から逃れることが出来ないんじゃないかとも思うのです。

 いやアイアンマンは、娯楽エンターテイメントの申し子なんですよね・・・。

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